130386Raのスタートアップな日々

2010年からスタートアップのサポーターとして活動してきた記録と、サポーターに飽き足らず50歳を過ぎてプレイヤーサイドに身を投じたへそ曲がりなおじさんがスタートアップについて諸々お伝えしているブログです。

サイエンス・サポーター株式会社が『Innovation Gallery』を本日 ローンチ

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本日(8月4日)サービスリリース

私がサポートしているStartupのサイエンス・サポーター株式会社が『Innovation Gallery』というサービスをローンチしました。

このサービスは、アカデミアの研究者と企業や科学技術などの研究に興味を持つ人達をつなぎ合わせて交流させるサイトと考えて頂ければ良いだろう。この会社は、中小企業で大学との共同研究に携わり、その後大学の教員及び知的財産担当としても企業との共同研究に従事した青野社長が設立した企業だ。

彼の問題意識としては、若手の研究者やメジャーではない日の当らない研究者が満足な研究資金を得られず十分な成果を生み出されない現状を打破出来ないだろうかというものだ。翻って、大学や様々な機関の研究者と共同で研究や開発を進めるにしてもあまりに情報が乏しいという現状を自らの経験から実感していた。ならばこの両者のミスマッチを解消したいとの想いでこの会社を設立したのだ。当初彼からこの構想を聞いたのは確か約1年前に遡る。共同創業者となるメンバー集めや、事業構想の具体化、そしてパートナーとの開発を経て今日のローンチの日を迎えたのだ。

 

多くの研究者にとって厳しい現実

では、現在の研究者の状況とはどんなものなのか?

ご存じの方もいらっしゃるかも知れないが多くの研究者は、その資金科研費というものに頼っている。これは、大学でそれなりのステータスを築いているメジャーな研究者のところに集中するため、上述の若手の研究者やメジャーでない研究をしている研究者にとっては手の届きにくいものだ。

それ以外の方法としては、一般からの寄付や共同研究、開発といった方法もあるのだがそれには世の中の多くの人達に知ってもらう必要がある。しかしながら現状その効果的な方法がほとんど存在しないというのが実情だ。確かに、各大学が作っている研究者データーベースなども存在するにはするのだが、研究論文や専門用語が多くとても一般人や研究会開発部門を持たない中小企業からすればほとんど理解不能といっても良いというのが実情だろう。当然、そういった問題意識はやる気のある研究者側にもあり、独自のHPを立ち上げたり様々な努力を行なっているものの、WEBでのPRなど得意でなく、時間をかけて作り上げてもまったく見られないケースも多く、研究者の本来のニーズとしてはミッションである研究に没頭して結果を出したいということなのだという。

かつて、IPS細胞でノーベル賞を受賞した山中教授も研究資金の募金を募るためにマラソンを走ったりしたことがあるし、現在注目を浴びている希少糖の研究者である阿森教授も当初は、まったく見向きもされず研究継続自体危ぶまれていたという話を聞いている。たまたま、山中教授や阿森教授はその後研究が脚光を浴びたがこういった例はごく一部でしかないだろう。

 

サイエンスサポーターをサポートする個人的な想い

サイエンスサポーターの事業をサポートするのには、少し個人的な想いもある。

実は、私の祖父(2人いるのだが)は研究者と中小企業(製造業)の経営者という、彼らが支援しようとしている立場だったのだ。今でも、私は二人の祖父を尊敬していて、よく思い出す。研究者をしていた方の祖父は比較的大きな企業にいたので資金難になるというような事はなかったようだ。それでも研究の成果を出すには膨大な時間を要し、功績を認められるにはさらに長い時間を要したと聞いている。中小企業を経営していた方の祖父は、事業が軌道に乗るまでに資金やらなんやらそうとう苦労したらしい。これは随分最近に聞いた話なのだが、この祖父の会社は、大学の先生から技術指導を受けて技術を確立し製品化をしたということだ。もし、こういった縁が無ければそもそも、自分は生まれていなかったかも知れないとも思う。

それでも、この祖父2人はまだ運の良い方だったのでは思う。今、本当に世の中にとって必要であるにも関わらず脚光を浴びていないため資金が得られない研究者や良い研究者と出会えればブレークスルー出来る企業が世の中には数多く存在しているのならそれを解消させる事業を手伝うというのは、自分の天命ではないかと感じている。

 

さらに、自分自身の経験も重ね合わせている。3年くらい前にサポートしている企業から共同研究をしてくれる先生を探し欲しいとの打診があった。経済産業省のサポインの補助金を受けるのに開発している技術について補完してくれる共同研究者が必要だということであった。当然、『Innovation Gallery』のようなサイトはなく、各大学の研究者データベースを開けたり、閉じたりを繰り返したり、キーワードをいくつも放り込んでググってみたりを繰り返したりした。当然に、非常に多くの時間と労力を費やしこととなった。この時に、なんか『こんな自分の探している研究者を一発で探せるサービスないんやろか?』と純粋に思ったのだ。

 

さて、そんな彼らのサービスがいよいよローンチした。

まずは、多くの研究者や研究者を探している企業や個人の方々に使って頂きたい。そして、将来的にはもっともっと多くの人達がアカデミアの研究に興味をもって頂きたいと考えている。