130386Raのスタートアップな日々

2010年からスタートアップのサポーターとして活動してきた記録と、サポーターに飽き足らず50歳を過ぎてプレイヤーサイドに身を投じたへそ曲がりなおじさんがスタートアップについて諸々お伝えしているブログです。

ソーシャルファイナンスについて考えてみた Part1

そもそも何故ソーシャルファイナンスに興味を持つのか?

 

日頃ベンチャー企業とお付き合いするにつれ感じるのが、資金調達の難しさだ。スケーラブルでないとか、企業としての信用力に問題があるとか理由はそれぞれある。ただそうすると成功するのか、失敗するのか分からない事業やプロジェクトはどうやったら資金調達することが出来るのだろうか?そんな思いを抱いている時に、ミュージックセキュリティーズの震災復興プロジェクト http://oen.securite.jp/ やSAKELIFE http://sakelife.jp/ がまとまった資金を調達したことを知った。この仕組みを活用すればネット企業に限らず、中小のメーカーが新たな商品アイデアを試作品として作り出したり、将来実用化が期待できる研究開発費を調達することが可能になるのではないか?と考えたのだ。

 

ソーシャルファイナンスで実現できる『資本コスト』の引き下げとは?

 

そもそも、ソーシャルファイナンスとは何なのだろうか?グラマン銀行などの貧困救済や震災復興プロジェクトが中心といった社会貢献からソーシャルパトロンと言われる芸術家や音楽家を応援するものまで、多くのものがソーシャルファイナンスと呼ばれており調べれば調べるほど訳が分からなくなった。そんな時に読んだのがこの本『ソーシャルファイナンス革命』だ

ソーシャルファイナンス革命 ~世界を変えるお金の集め方 (生きる技術! 叢書)

ソーシャルファイナンス革命 ~世界を変えるお金の集め方 (生きる技術! 叢書)

ソーシャルファイナンスが何か?どんな種類に分類出来るか?の詳細はこの本の解説に譲るとして、非常に分かりやすく具体的な事例を挙げて解説しているのが、ソーシャルファイナンスを含めた金融のフレームワークの基礎についてだ。中でも資本コストを「持つことの対価」「リスクの対価」「情報取得の対価」の合計であると定義し、先進国ではソーシャルメディアの発展とともにこれらの対価は自然に引き下げられるとしている。Facebookを始めとしたソーシャルメディアは、お金の貸し手と借り手の距離を近くする。それは、事業主体であるお金の借り手が日常どんな事を実現させたいか、どんな活動をしているかということをお金の貸し手が知りえるということである。また、どんな事業パートナーがいて、どんな関係を構築しているかも知りえることが可能だといことだ。このことは、即ち先にあげた3つの対価を引き下げることにつながっている。

 

ソーシャルファイナンスがもたらす投資家満足の変化

 

本来投資家がお金の借り手から得る満足とは、元金の返済を受けて金利という利益(対価)を得るということだ。だからリスクの無意味に大きい投資を行うことには慎重になる。しかし、ソーシャルファイナンスは上でも述べたように貸し手と借り手の距離が近い。つまり、よしんばその事業やプロジェクトがうまくいかなくてお金が返ってこなくても、その人の役に立つこと、そのプロジェクトや事業に協力するということで満足できるということだ。自分のお金が銀行を通じて見ず知らずの人にお金を貸すよりも、自分の意思で自分が気に入った事業やプロジェクトにお金を貸すことの方が満足できるという風に考えるのは少数ではないだろう。つまり今後この流れは大きく広がっていく可能性があるということだ。あくまでも可能性ではあるが・・・

 

 

 

 

 

 

 

Startup Weekend Kyoto Aug.3~5 part2

 長かった54時間が終わった。そして、強烈な疲労感と脱力感そして眠気が残った。本当は、前回に引き続き3日目の様子をレポートっぽく書くつもりだったが早速にStartup Datingで取材に来てくださった江口さんが各チームのレポートを書いて下さっている

http://www.startup-dating.com/2012/08/startupweekendkyoto-report/ のでここではorganizerという立場でこのイベントに関わった当事者として思いや知られざる経緯そして今後の課題について書いてみる。

 

突然の申し出

 

 このイベントに関わるのは、去年の8月、11月に続いて3回目になる。

一番最初に今回のorgainerのメンバーで当時KRPの入居企業テナントのファウンダーで取締役を務めていた山下大介氏から、京都でこんなに面白いイベントを開催したいという打診を受けたのは、確か一昨年の冬だったと記憶している。京都GTUGで山下氏と活動を共にしていた寺戸とこの話を聞いたとき面白そうなんでやってみようか?と軽い気持ちで「やりましょか?」と答えたような気がする。それから、イベントの詳細の情報をとろうとしても、当時のStartup Weekendの情報はUS本国のもので、英語のものばかりだった。唯一の頼りは、東京のイベントに参加した山下氏から得られる情報だけだった。それでも、山下氏の情熱となんとかこの面白いイベントを京都で、KRPでやりたいという3人の思いだけで2011年のGWに開催することを決めた。

 

運命の3月11日

 

 2011年GWに開催だけは、決めたもののいかんせん自分達が本当に見聞きしていないだけに集客やスポンサーを集めるのも全く説得力がない。それではと、一度自分達の目でイベントを見に行こうと決め、寺戸と二人で東京へ行くことにした。それこそが、運命のあの日、そう2011年3月11日である。たまたま、午前中に仕事をこなさねばならなかったため15時16分発京都発品川行きの新幹線でZynga Japanのオフィスに向かおうと京都駅に行った。おそらく地震が発生した時刻には京都駅の強固なところに居たのだろう。京都でもオフィスにいた連中は随分揺れたと言っていたが当の2人はまったく気づかず10分後くらいに新幹線のホームに立っていた。妙に新幹線が遅れており、電車が大幅に遅れているとのアナウンスだけがあった。そのため、自分としては、少しでも早く会場に入りたいと思っていたので一本前の新幹線に乗ろうと寺戸を促した。しかし最終的には、この新幹線にのることは諦めた。結果的には、寺戸のこの判断が功を奏したのかも知れない。その5分後には、東日本で何が起こったのか?を知ることとなった。もし、この時新幹線に乗っていたなら多分名古屋あたりで新幹線に缶詰になっていただろう。兎にも角にも、このStartup Weekend Tokyoは中止となり、同時にGWでの京都開催も中止に追いやられた。

 

2011年8月 東京以外で初めてStartup Weekendを開催

 

 そんなこんながあったものの、ようやく2011年8月Startup Weekend Kyotoを東京以外で初めて開催した。正確に言うと、このラウンドはStartup Battle(祭り大会)と銘打って東京、京都、福岡で同じ月に週を分けて開催した。正直に言うとこの時は、参加者に何を提供するかまで考えが及ばず兎に角開催するんだというモチベーションのみで邁進したような気がする。そんな中でも協力を頂いたはてなの近藤社長、のぞみの藤田社長、ゆめみの深田社長そしてe-agencyの甲斐社長のご協力で無事開催することが出来た。この場をお借りして、厚く御礼を申し上げたい。

 

三度目のStartup Weekendに寄せた想い

 

 そんなこんなで、2回の開催を終え今回3度目を迎えたわけだが前2回とは明らかに違うモチベーションで今回のイベントを迎えた。コンセプトとして持ったのが、一番アントレプレナーに会って接点を持てるイベントだ。参加者には『起業を目指して欲しい』これは純粋な一つの希望である。ただ、やはりやるからには、例え起業を目指さなくても、参加者に少しでも満足して帰ってほしいとの想いがあった。そのためには、今まさにStartupを経験している旬の経営者に集まってもらい生きた知識を得てもらうのが得策だと考えた。このため色々なイベントに顔を出しその場でメンターを依頼したり、KRPの町家スタジオで接点を持っている起業家たちに声をかけまくった。その甲斐があって多くの若手起業家の方々にご賛同頂くことが出来た。

 

 そしてもう一つ。京都発世界へを体現するためにアジアのカンファレンスに参加させるたいと考えた。このため負担を軽減するために航空チケットをプレゼントしたいと考えた。その想いを共有して頂きほとんど見返りのない状態でスポンサーに名乗りを挙げて頂いた、Movida comunications(株)、chatwork (株)、(株)paperboy&co、(株)フューチャースピリッツ、(株)マルチメディアスクール・ウエーブ、(株)ロックオンの各社様には感謝しても、し尽くせません。また、スポンサー企業の皆様方が、協賛を頂くだけでなくメンターや運営サポートまでご協力頂いたことをこの場を通じて皆様にお伝えし感謝の意を表したいと思います。

優勝チームがどこのどんなカンファレンスに参加するかは改めて発表したいと考えています。

乞うご期待下さい。

 

今回のStartup Weekendを通じて見えてきた課題

 

 今回は多くの若手の参加者を迎え、非常に意義深いイベントに出来たと考えている。その反面、今後解決すべき課題も見えてきたのでここに記しておく。

 

 ①イベントに勝ち抜くためやお金を稼ぐためだけでなくグローバルな本質的な問題解決に繋がるサービスを作り上げること

    

ジャッジの藤田さんからも指摘があったように、マネタイズより重要視すべきなのは世の中の何に問題意識を感じ、それをどういった手段で解決するか?ということだ。しかも、それは日常的なありきたりの問題ではなく、世の中をよくするサービスの提供であることなのだろう。

メンターの帝都久里寿さんは、こう言っていた。『なぜこのサービスをやろうと思ったのですか?そのpassionがなければ駄目だ』と。

 

この部分の重要性をもって伝えていかなければならないと感じた。

 

 ②意思決定のプロセスやビジネスモデルの構築などStartupに関するスキルの向上を図る

年に数回イベントを開催するだけでなく継続的かつ体系的にStartupのスキルを学ぶ場を作り出すことが重要だと感じた。今回のイベントでもブレストに時間を掛けすぎてなかなか開発のステージに進めないチームが多かった。これらは、本当は意思決定の手法やリーンスタートアップの手法など必要なスキルを身に着ければもっとスムーズに展開できると感じた。

 

 ③本当の意味でのStarを生みだす

「ままごとは、本当のママが生み出されるからいいのだ。本当のママが生み出されなければそれはただのお遊びに過ぎない。」懇親会で今村さんが語った名言だ。今までは起業の体験が出来る場作りに過ぎなかったけれども、今後このイベントから真の意味で成功するチームを生みだす場にしていく事こそ重要だと考える。

 

 ④参加者、参加候補者のコミュニティー化

今回初めて参加者にFBグループを作成した。しかし、東京に比べるとまだまだ、コミュニティーのパワーが弱い。京都、大阪における起業志望者の結びつきを強化したいと考えている。今回の参加者と過去の参加者を繋ぎ合わせることもやっていきたい。

 

なぜStartup Weekendのorganizerをするのか?

   

今回、イベント開催前にプレイベントを開催した。この時になぜorganizerをするのですか?ということを聞かれた。『京都発世界へ』という企業を産み出したいというのが大きな動機だ。ベンチャーは100社に1社しか成功しないと言われている。ならばそれは、逆に言えば、100社起業すれば1社成功するということだしチャレンジする人間が多くなればなるほど成功する企業も増えるということだと考えている。純粋にそういう人達にすこしでも役に立ちたいと考えている。でも単純に言えば好きだからやっているとうのが本音かもしれない。

 

京都に対する想い、KRP社員としての想い

 

京都という場所は、イノベーションを産み出す最高の場所だと思っている。常に自然と歴史を感じることが出来て、人の賑わいもあり外国人との交流も容易だ。また、優秀な大学生もたくさんいる。東京の雑踏の中にいるよりもずっとイマジネーションが高まると感じている。

だからこそ、外から京都に来て欲しいし、京都から世界を驚かせる事業を産み出すことに少しでも関与したいと考えている。

 

自分は、KRPの社員としてこの活動に参画している。それは、KRP自身がただの企業が集積したビル群ではなく、イノベーションを産み出す場として機能しようとしている意思に他ならない。 自分の活動が少しでも、KRPのブランド向上に繋がればと思っている。

 

 最後に、毎回なし崩し的に審査委員長をしていただいているはてなの近藤社長から「回を重ねるごとにレベルが上がってきている。これからも、継続していって欲しい」とのご感想を頂いていることをお伝えしておきます。

 

 おそらく今後もStartup Weekendの活動をサポートしていくだろうし、今回出てきた課題をクリアできるような活動を行なったいきたいと考えている。

Startup Weekend Kyoto Aug.3~5

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 8月3日から5日で京都で3回目となるStartup Weekendを開催した。システム上の問題もあり果たして何人が参加するのか?と寝れぬ夜を過ごしたが37名の精鋭が集まった。今回の特徴としては、事前イベントの参加者や過去の参加者の紹介で初めて参加するメンバーが多かったということだ。決して参加者全員に年齢を聞いたわけではないのだが、20代の参加者が多かったのではないだろうか。

 

Startup Weekendの初日は、ピザとビールから始まる。このイベントの参加者は、基本的には見ず知らずの起業に興味を持っているということだけでしか繋がっていない。これから3日間、54時間でサービスを立ち上げていく仲間をみつけるために出来るだけリラックスした雰囲気を作りだすことが目的だ。その後、例によって『馬鹿馬鹿しい2wordに.comを組み合わせて、どんなサービスを創る会社にするのか?』をチームで考えるゲームを行う。例えば、マザコンとコーラの2つの言葉を選んだチーム(マザコン×コーラ.com)は『コーラのペットボトルの先につけるちくび型の吸引キャップを作ります』という具合に仮想の会社名から仮想のサービスをイマジネートするのだ。このラウンドでは、限られた時間内でチームで一つの物事を意思決定するプロセスを学ぶ。これからの54時間の中で何度も意思決定を行う機会が訪れる。それは、ブレストを行う中からサービスの内容を絞りこむときもそうだし、実際に仮説をたてて走り始めてからピポット(転換)を行うときもそうだ。そもそも、本当に起業をすれば毎日が小さな意思決定の連続となる。だから、ゲームをしながらそのプロセスを学んでいくのだと僕は理解している。

 

その後、ビジネスアイデアを持つ参加者が自らのアイデアを披露するピッチのラウンドに移る。今回は、25名が自らのアイデアを発表した。1分間という限られた時間の中で『世の中の何に問題意識を持っているか?』そして『自らのサービスはどうやってその問題を解決できるのか?』を訴えかける必要がある。当然、自分が事前に考えてきたアイデアを発表する人もいれば、普段自らが持っている問題意識をこの機会に解決方法を考えてピッチする人もいる。発表されたサービスの中から多数決で8つのサービスが選ばれて、チームを形成することになった。ここからメンバーを募集する段階で新たなチームの結成や合併が行われて最終的には7つのチームでスタートすることになった。

 

2日目から開発のステージに移る。開発を始める前にその内容を確定させるわけだがこのブレストに多くのチームが時間を費やした。事前に、オーガナイザーのLeeからブレストの方法についてのレクチャーがあった。その方法は、以下のようなものだ。まずよく言われることだが、人の意見は決して否定しない。つまり「yes~、and~」という発言を行うということ。もう一つは、時間とテーマを決めて一旦議論の拡散を行なう。その後に再度時間を定めて、絞込みを行う。このプロセスを連続させていき開発の内容を確定させるというものだ。分かっていてもなかなかうまくいかないのは、議論が伯仲しすぎることと、タイムマネージメントがなかなか機能しないこと、そして何を軸としてぶらさないか?ということに慣れていないからだと感じた。この部分をどうマネージメントしていくのか、というのはオーガナイザーサイドの課題であると感じた。

 

この日までに多くのメンターやアドバイザーの方々がお越し頂きアドバイスを頂いた。順不動でご紹介するとコネクトフリーhttp://connectfree.jp/のクリストファーテイト氏、日本情報化農業研究所 http://www.n-i-agroinformatics.com/の古荘貴司氏、nota inc.  http://notaland.com/ の洛西一周氏、洛洛.com http://e-rakuraku.com/の安達貞雄氏、

Movida comunications http://www.movidac.com/ の九島洋一氏、そして去年11月の

Startup Weekend Kyotoのchampion チームで Coworkify http://coworkify.com/ の

Kenshin Fujiwara氏だ。その他にも、アドバイザーや運営のお手伝いとしてスポンサー企業でもある、http://www.paperboy.co.jp/の今岡佐知子氏、マルチメディアスクール ウエーブ http://www.mswave.co.jp/it/index.htmの中山岳文氏、そしてKRPの入居テナントとして、イントフロート http://www.intfloat.com/の龍野優也氏にご協力を頂いた。

 

このブログは、最終日の最終審査の前に書いている。なので、最終プレゼンの模様は後ほどアップします。