starupweekend バーチャル京都からの学び
1.具体と抽象の往還について
「スタートアップは、熱狂的な一人の顧客を見つけろ」
これは、よく言われる事ですし、startupweekend Kyotoでもファシリテータが言っています。ただ、この部分はもう少し掘り下げないといけない部分だと、今回感じました。
それは、「熱狂的な一人の顧客を見つける」だけではだめだということです。
熱狂的な一人の顧客は、具体的なニーズがあるから、そのプロダクトなり、サービスを支持します。具体的な課題を抱えている人と言って良いでしょう。しかし、そのニーズは個別具体的すぎて、汎用化出来ない事が少なくないからです。
例えば、「絶対にズレ落ちないズボンがあれば欲しいですか?」と聞かれた時に、私なら欲しいですと答えます。何故なら、私は、太り気味(過ぎ?)で、毎日のように長時間歩くので、いつもズボンがずれる事に悩んでいるからです。
しかし、本当はズボンでなくても良いのですし、毎日長時間歩かない人なら、同じ課題を抱えているとは言えないと思います。ですから、太りぎみの人には、ずり落ちないズボンが欲しいというニーズがあります、と言い切ってしまうのは危険だということです。
これは、あまり良い例ではなかったかも知れませんが、熱狂的な一人の顧客に対して、なぜそれが必要か、なぜそれを欲しいと思うのか、なぜそれが好きなのか、を徹底的に聞き出して、その本質を抽象化する事が必要だからです。
具体的なニーズを持っている「熱狂的な一人の顧客」を通じて、抽象的なサービスの本質を作り出さないと、「熱狂的な一人の顧客」しか欲しないサービスを作ってしまう事になってしまいます。これでは、最終的に多くの人に利用してもらう事は出来ないと思います。
具体と抽象の往還については、以下に詳しく説明がされていますので、もう少し詳しく知りたい方はこちらを読んでみて下さい。
この具体と抽象の往還という思考は、日頃から常に行なっているか、という訓練の部分になるかも知れません。私自身が、この「具体と抽象の往還」を意識しながら仮説検証を繰り返してみようと思いました。
本当はこれこそが、startupseekendのジャッジのポイントであるexecution(検証)の部分なのかも知れません。
2.オンラインならではヒアリングスキルの必要性
今回のような、オンラインイベントではヒアリングの多くをアンケートで済ませる傾向が強くなってしまいます。オンラインでのアンケートは、オフラインでのFace to Faceでのアンケートに比べてニュアンスが伝わりづらいという面があります。
そうなると、設問数が多い、記述式の設問が多いアンケートは自ずと回答率が低くなってしまいます。ここで、重要になるのがアンケートの目的です。
そのアンケートが、本質的な厳しい真の意見を聞きたいのであれば、ある程度回答率を下げてでも、ハードルの高い設問にすべきですし、そもそもそんなニーズってあるの?とか本質を捉えるために、多くの人に答えて欲しいのならそういった聞き方をしなければならないでしょう。
そこには、アンケートに関する一定のスキルが必要になるでしょう。
ひょっとすると、今後これは必須のスキルになるかも知れません。
また、オンラインのデメリットとしては、無関心な人の動向がわからないというものがあります。オンラインのアンケートなら、無関心な人は回答しません。ですから、アンケートのトピックスにどれくらいの割合で関心を示すかが捉えにくい事になります。
しかし、Face to Faceであれば、話しかければ、少しくらいは話を聞いてくれる人がいます。トピックスに対して無関心であればそう意思表示してくれたり、リアクションから読み取ることが可能です。それによって、関心を示す人と示さない人のざっくりした割合が読み取れるでしょう。
オフラインのイベントなら、両方を組み合わせてやるべき、なのでしょうがオンラインイベントなら、その代替手段を考える必要があるかも知れません。
3.プレゼンについて
startupweekendの最後は、ジャッジと参加者に対して、プレゼンを行ないます。
ここで、気になるのは冒頭の課題の共有(誰のどんな問題をというWHAT WHOの部分)に時間をかけすぎていると感じる部分です。おそらく、そこに一番、チームとしての思い入れがあるので、時間をかけたくなる気持ちはわかります。しかし、多くのチームが、スライドで3枚〜5枚くらい、時間にして、1分半から2分も時間を掛けるのは、正直長すぎると感じました。ここは、ビジュアルとしてメッセージの伝わるスライドを1枚入れれば、30秒ほどで伝えられるのでは、と感じています。
ジャッジや、聴衆が本当に聞きたいのは、その課題をどうやって解決するのか?なぜ自分たちが出来るのか?といった(HOW WHYの部分)だと思うからです。
startupweekendで発表されるテーマについては、多くの人が課題に感じていて、なんらかのアプローチで解決策に取り組んでいます。その中で、自分たちのやり方は、今までとどう違うのか?なぜ自分たちがより良く解決出来るのか?それを発表するのがプレゼンの場だと考えています。
かつて、私が受講したベンチャーキャピタリストの研修で講義をして頂いたジェネシアベンチャーズの田島さんが作られた、事業計画スライドのポイントです。だいぶ古い資料ですが、未だに色褪せないものだと思っていますので、よければ参考にしてみて下さい。
startupweekendでは、このうち、課題設定、ビジョン、プロダクト概要、戦略、マーケット、に加えて3日間のアウトプットを発表すれば良いのではないでしょうか?
更に言うと、イベント後どういうアクティビティによって、実現していくかまで発表できればベストだと思います。
今回のイベントでも多くの学びがあったので書いてみました。
startupweekend Kyotoに興味を持たれて方は、ぜひこちらも見てみて下さい。
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