inahoが追求するRaaSモデルについて
1.inahoとは?
2017年に設立された、ロボティクススタートアップです。HPによると本社は、鎌倉にあり、イイ”イナホ”の日1月17日が設立日のようです。
inaho株式会社 | 農業の自動化ソリューション開発を行う一次産業のSierスタートアップ
inahoという会社の名前は知らなくても、このアスパラ収穫ロボットの動画は、ご覧になられた人もいらっしゃるのではないでしょうか?
2.農業の自動化実現の難易度
農業分野それも、野菜収穫をロボットで行うという話は、誰かがやるべきと言われながらもなかなか実現してきませんでした。実際、僕たちも農業分野のロボットなんて絶対やったらアカンと言われたりしました。
なぜなら、人手不足が深刻であるにもかかわらず、現状自動化する作業にかかっているコストが安すぎるため、採算が合わないのでやめとけというのが理由でした。こういった話は、農業の現場だけでなく生産現場でもよくあります。
また、日本の農業はスケールが小さい(欧米のように収穫量の規模が大きくない)事から自動化実現によるメリットが乏しいと考えらている事も要因の一つです。
他には、農作業は人のフレキシブルな判断と器用さを要求されるところが多いので、汎用化が難しいというのもその理由の一つです。そういった意味で、ハウス内のアスパラガスの収穫という比較的汎用化しやすい分野から始めた、というのはとても理にかなっていると思います。
3.アスパラ収穫ロボットとは?
動画とHPによると、まずこのロボットは、ハウス内に引かれた白線を認識して走行しているようです。その上で、カメラの画像から収穫に適したアスパラガスを判定して収穫していきます。ここにAIを活用して、収穫の効率化、最適化を実現しているものと思われます。
ここで、関心するのは夜間でも走行可能、充電式で連続走行可能となっているところです。上でも述べた人との比較の部分で、人が働けない時間も働く。人が操作しなくてもい動き続ける事によって、人が行う総作業量の差を埋めていると考えられます。
一見、このロボットの作業スピードでは人がやる方が早いので意味ないんじゃないと言いたくなりますが、初期設定だけして置きっぱで良いなら人がやるより多少効率が悪くても長時間労働させれば、解消するでしょう。(人だと即、労基行きですが、ロボットならそんな心配ないですし)
ただ、本当に面白いと思ったのは実は、テクノロジーではなくビジネスモデルです。
Saasに擬えて、RaaSと呼んでいます。
このRaaSのビジネスモデルは以下です。
さて、これの何が凄いと感えたかというと、完全に固定費を変動費化させているというところです。これは、農業に限らず生産現場でなぜロボット自動化が、必要と分かっていても導入されないかというと、導入によって費用の固定化につながるからです。
会計上の区分だけで言えば、自動化させ得る人の作業は固定費になります。
しかし、これらの作業はアルバイトやパートが担うことが多く生産量(言い換えると作業量)が少なければ、その分稼働時間を減らす変動的経費です。
ロボット導入や自動化を行うと、今までのモデルであれば生産量が減ろうが調整が効かないというのがネックになったいたはずです。
しかし、inahoが推進するRaaSモデルであれば収穫量に比例して支払えば良いのでリースよりも更に効率良く導入することが可能になるでしょう。
対応する作物は、アスパラガスからキュウリやトマト、ナスなどに拡大させていく予定のようですので注目していきたいと思います。